アジア事業拡大図る WBバーガーズ、代替肉も NNA
2022.12.13

米ハンバーガーチェーンのウェイバック・バーガーズの日本国内でのマスターフランチャイズ契約権を保有するWBバーガーズ・ジャパン(東京都渋谷区)は、シンガポールを拠点にアジアでも事業を拡大する。代替肉の開発と製造を手がけるグループ会社のネクストミーツ(東京都新宿区)や同社から分離・独立したドクター・フーズ(東京都新宿区)とも協業し、植物性代替食品を使用した商品を提供するとともに、さらなる代替食の可能性も探る。
WBバーガーズ・ジャパンは2021年創業。日本でのウェイバック・バーガーズの店舗設立、運営に関するマスターフランチャイズ契約の権利と、シンガポール、マレーシア、台湾、インドネシア、フィリピン、ベトナム、中国、インド、韓国、タイの10カ国・地域でのマスターフランチャイズ契約の優先交渉権も持つ。
現在、東京に2店舗を展開(写真:表参道店=WBバーガーズ・ジャパン提供)。米ウェイバック・バーガーズの商品に加え、ネクストミーツの代替肉を使用した「ネクストバーガー」や、ドクター・フーズが開発した植物性フォアグラを使用した「ネクストフォアグラバーガー」も提供している。
WBバーガーズ・ジャパンは、今後4年間でアジア10カ国・地域でのフランチャイズ展開を加速させる計画だ。シンガポールでは3~5店、アジア地域では15~20店のウェイバック・バーガーの店舗開設を目標としている。
「セールスチャンネル」の役割
WBバーガーズ・ジャパンの石塚孝一代表取締役社長は、米国の店頭取引市場に上場しているネクストミーツ・ホールディングスの子会社、ネクストミーツの共同代表取締役社長も務めている。
ネクストミーツは20年創業。大豆プロテインをベースとする代替肉の開発・製造・販売を手がけるスタートアップだ。
石塚氏がウェイバック・バーガーズのフランチャイズ契約の権利を取得した理由は、ネクストミーツの代替肉の販路を拡大できることが大きい。代替肉を使用したメニューを開発し、アジア各地、ひいては米国や中東などの米ウェイバック・バーガーズが展開する地域に販路を広げることが可能となるためだ。消費者のニーズを直接つかみ、ネクストミーツの新製品開発につなげることもできる。
WBバーガーズ・ジャパンの植野充最高執行責任者(COO)は、「ウェイバック・バーガーズは、ネクストミーツの代替肉製品の販路として、グループ内のセールスチャンネルの役割を担っている」と説明した。
ハイブリッド製品も視野に
ドクター・フーズは、ネクストミーツで研究・開発に携わっていたフランス人、ロシア人、中国人の博士号取得者3人が主な研究開発者として参加する会社で、石塚氏が代表取締役を務める。カシューナッツを原料とし、こうじ菌で発酵させることによりできる植物性培養フォアグラを開発した。既にシンガポールにオフィスを開設し、近く研究開発(R&D)拠点を開設する。
植物性キャビアの開発も手がける。将来的には、フィッシュオイルの培養企業との協業で、より本物の風味に近いハイブリッド商品を目指す。シンガポールでは政府が培養肉の商用生産を認可しており、開発環境が良好なことも同国にR&D拠点を置く理由だ。
ネクストミーツも植物性の代替肉にフィッシュオイルなどの動物性培養油を入れる「ハイブリッド肉」の開発を視野に入れ、研究を進めている。
WBバーガーズ・ジャパンの植野氏は、「今後、ハイブリッド肉を使用した商品開発も視野に入れている。ただ、ネクストミーツの代替肉製品以外に、他社の培養肉などを使用した商品の提供はしない」と、事業の垂直統合は崩さない方針を明らかにした。(NNA)
最新記事
-
昆虫由来飼料に参入 住商、シンガポール企業と NNA
住友商事は昆虫由来タンパク質を手がけるシンガポールのニュートリション・テクノロ...
-
米粉代替作戦 小視曽四郎 農政ジャーナリスト 連載「グリーン&ブル...
コメがついに麺にも抜かれた、と総務省調査(2人以上家庭、平均世帯人員2.91人...
-
ウクライナ支援で一致 週間ニュースダイジェスト(4月16日~22日)
先進7カ国(G7)農相会合が宮崎市で、2日間の日程で開幕した(4月22日)。ウ...
-
農業・農村へ300兆円規模の投資 中国、5~10年でインフラ・物流整...
中国農業農村省は20日の記者会見で、農業・農村分野への投資需要が向こう5~10...
-
3色イチゴ、アジア・世界へ 奈良いちごラボ、こだわりのブランド N...
世界的に人気がある日本産フルーツの中でも、特に引き合いの強いイチゴ。海外では九...
-
花粉症対策でスギの伐採加速 週間ニュースダイジェスト(4月9日~15...
政府は首相官邸で花粉症対策を議論する初の関係閣僚会議を開き、岸田文雄首相は6月...
-
ムスリム対応のすし店オープンへ ドンキ、マレーシア4号店で NNA
ディスカウント店「ドン・キホーテ」などを運営するパン・パシフィック・インターナ...
-
コロナ後の消費取り込みへ 中国・海南の展示会で日本ブース NNA
消費活性化を目的とする見本市「第3回中国国際消費品博覧会」が、海南省海口市で1...
-
青果のブランド管理にも強み 日本食農連携機構、豪州ビクトリア州視察 ...
日本のアグリビジネスの発展を目指す日本食農連携機構(一般社団法人)が3月中旬に...
-
生産拡大と持続可能性の両立を議論へ 週間ニュースダイジェスト(4月2...
気候変動やロシアのウクライナ侵攻で食料の安定供給が世界的な課題となる中、先進7...