グローバル
ドンキの鮮選寿司、香港に2号店 9月にはタイ出店 NNA
2022.04.29

総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」などを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、強固な仕入れ網を生かしたすし専門店「鮮選寿司」でアジアに攻勢をかける。
香港の観光名所ビクトリアピークで2号店を4月29日に開業。半年前にオープンした香港1号店が盛況であることから、域内で出店を加速する。9月にはタイにも出店し、香港の成功体験をアジアに広げる。
海外向けのディスカウントストア「ドンドンドンキ」などを香港で9店舗運営するPPIHは昨年10月、新界地区・荃湾で鮮選寿司の1号店を開業した。グループとしてすし専門店は世界初の試みで、和食激戦地である香港で「日本のおいしいをそのまま海外に」をコンセプトに挑んだ。
世界中から厳選した鮮度の高いネタを使ったすしは、香港人の間で人気となった。PPIHグループの常務執行役員(香港・台湾・マカオ事業責任者)で、現地法人の泛亜零售管理(香港)を率いる竹内三善社長は「開店から半年を経過してもなお、満席が続いている」と話す。
1号店は連日、1時間弱から最長3時間の待ち時間が発生するほどの盛況ぶりだ。
2号店で顧客の幅広げる
1号店が好評であることから、域内での出店加速を決めた。ビクトリアピークの商業施設「山頂広場(ピーク・ギャレリア)」(写真:26日、NNA撮影、以下同)で運営していた屋台型店舗「情熱笑店(じょうねつしょうてん)」を鮮選寿司にリニューアルし、2号店とした。
竹内氏は出店地にビクトリアピークを選んだ理由について「近隣は高級住宅街で、観光名所でもあることからすしとの親和性が高い」と語る。1号店は老若男女幅広い層が顧客だが、2号店では近隣に住む富裕層や、長期的には域外からの観光客も取り込み、顧客の層を広げる狙いだ。
2号店では開業から1~2カ月間の期間限定で1号店にはない「日本産 生本まぐろ食べ比べセット(赤身・中トロ・大トロ)5貫」(100HKドル=約1630円、上の写真=26日)、「伊勢海老にぎり」(50HKドル)を提供。竹内氏は「ピークの舌の肥えた顧客に満足してもらえるよう、特別メニューを用意した。ぜひ食べてもらいたい」と自信を見せる。
豊洲とテレビ電話で仕入れ
鮮選寿司は、PPIHグループが長年の小売り事業で培った仕入れと物流のネットワーク、海産物の目利き力を生かし、豊洲市場経由で鮮度の高いネタを仕入れる。
現地法人の生鮮部門シニア調達マネジャーで鮮選寿司の責任者を務める山口晋治氏によると、早朝に豊洲市場の仲買商とテレビ電話をつなぎ、市場に入ったばかりのネタをその目で確認して仕入れる。香港への空輸便がある日は早朝4時ごろ、仲買商から当日入った海産物の写真が送られてくる。これを見て、テレビ電話で確認しながら仕入れるという。
「提供するネタは、特別メニューも含めて仕入れ次第。納得できるものしか使わない」と山口氏。納得できるものが仕入れられなければ、そのネタはその日は「売り切れ」としている。
1号店は回転ずし店としてオープンしたが、2号店ではすしは回転させない。「すしがレーンを回るわずかな時間でも、ネタの鮮度が落ちてしまう」との配慮から、提供スタイルを変更。客の注文を受けてから握ったものを、専用の「特急レーン」で各テーブルの脇まで届ける仕組みとした。
1号店も近く、回転ずしを廃止して特急レーンでの提供だけに変更する予定だ。
タイ1号店、9月に開業
香港で始まったすし専門店の取り組みを、今年はタイへも広げる。タイ東部チョンブリ県シラチャーの商業施設「Jパーク日本村」で9月に、ドンドンドンキに併設する形で鮮選寿司のタイ1号店をオープンする。
香港でも、出店ペースを速める。竹内氏は「ドンドンドンキの既存店への導入や新店への併設導入など、鮮選寿司の複数店舗の出店を予定している」と説明。「まだスタートしたばかりの事業なので、引き続き来店者にしっかり満足してもらえるよう取り組む」と語った。
PPIHは現在アジアで、シンガポール12店、香港9店、タイ4店、マレーシアと台湾各2店、マカオ1店の計30店ある。2024年6月期までにシンガポール23店、香港24店、マレーシア11店、タイ10店、台湾6店、マカオ2店にそれぞれ増やし、76店舗態勢とする目標を掲げている。(NNA)
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