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インド・ヒマチャルで農業支援  JICA、円借款倍増  NNA

2021.11.25

インド・ヒマチャルで農業支援  JICA、円借款倍増  NNAの写真

 国際協力機構(JICA)は、インド北部ヒマチャルプラデシュ州全域での農業支援事業(借款金額:113億200万円)の始動式典を、同州ダラムサラで11月18日に開催した。同州の農業人口の8割を占める小規模農家の栽培効率の改善と作物の多様化を図り、所得を増やすことを目指す。

 JACAは2005年に同州調査を始め、07年に支援事業のマスタープランを完成。11年に第1期となる「ヒマチャルプラデシュ州作物多様化推進事業(フェーズ1)」の円借款契約(借款金額:50億100万円)をインド政府との間で結び、21年6月に完了した。第1期では州内5県の4320世帯の平均収入を4.4倍に増やした。(写真:現地の気候に適した西洋野菜を栽培することで、農家の収入増加を実現した=JICA提供)

 今回始動した第2期「ヒマチャルプラデシュ州作物多様化推進事業(フェーズ2)」では、第1期で獲得したノウハウを州全域に広げ、生産だけでなく農家の販売先の開拓支援により力を入れる。

 対象地域を第1期の5県から全12県へと拡大し、円借款金額も倍増する。今年3月に契約調印し、事業は7月に始めたが、コロナ禍が落ち着いたことから式典を開き、事業始動を宣言した。

野菜の栽培で収入増加を達成


 第1期の対象の5県は、ハミルプール、マンディ、カングラ、ウナ、ビラスプール。JICAインド事務所の古山香織氏によると、同州はヒマラヤ山脈に近く気候が冷涼であることが特徴で、穀物よりも換金性の高い野菜の栽培に適しているにもかかわらず、コメなど穀物の栽培が中心で潜在性を生かせていないという課題を抱えていた。

 第1期では、対象地域でかんがい面積を4671㌶広げた。技術者による支援により穀物の生産率を上げて、野菜の耕作面積を09年の150㌶から21年には3269㌶まで拡大。トマトやカリフラワー、ブロッコリー、ビーツ、ナス、エンドウマメ、キャベツといった野菜を栽培するようになった。

 「マンディ」と呼ばれる公共の農産物卸売市場だけでなく、ホテルや飲食店にも販売先を広げることで、収入増加を実現。受益農家4320世帯の1㌶当たりの年間収入は、09年時点では平均5万5000㍓(約8万4900円)だったが、21年には4.4倍の24万120㍓へと増加した。

民間巻き込み販路開拓


 第2期では、第1期で培ったノウハウの導入を州全域へと広げる。実施期間は29年12月までを予定。かんがい面積は約8000㌶拡大し、300~500世帯の農家が所属する生産者団体(ファーマーズ・プロデューサー・オーガナイゼーション、FPO)を10団体形成することを目指している。

 古山氏は、第2期では「農家の販路開拓の支援により重点を置く」と語る。「FPOを作ることで規模の経済を働かせ、地場・日系の民間企業と連携して作物の販売、加工、保存、流通を改善し、州の農業セクター全体を振興させる」計画だ。

 流通の自由化では「地場のスタートアップなど、新しいチャンネルとの連携も進めたい」とコメント。民間企業と連携する試験的な活動も、第2期で支援していく方針だ。

 JICAはヒマチャルプラデシュ州のほか、西部ラジャスタン州や東部オディシャ州、南部アンドラプラデシュ州などでも農業支援に取り組んでいる。インド政府は、22/23年度(22年4月~23年3月)に農家の収入を15/16年度比で倍増させる目標を掲げている。(NNA)

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