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グランピングで気づく地域の魅力  野村亮輔 アジア太平洋研究所研究員

2021.01.11

グランピングで気づく地域の魅力  野村亮輔 アジア太平洋研究所研究員の写真

(写真はイメージ)

 昨年の流行語は、新型コロナウイルスの影響を受けたものが多かった。中でも筆者は「ソロキャンプ」という言葉に注目をしてみた。

 この言葉がはやった背景を調べてみると、コロナ感染拡大を受け、大人数での旅行があまり楽しめないこともあり、人が密集しない山などで、1人でキャンプを楽しむ方が増えているからであろう。

 さらに、家で過ごす時間が増えたこともあり、実際のキャンプ場に行かず、家にいながらにしてキャンプ気分を味わう「家キャン」と呼ばれる方法で楽しむ人もおり、キャンプ全体を楽しむ方が増加しているようである。このような事情を反映してなのか、昨年9月の大阪税関の発表によれば、テントの輸入量が24年ぶりに過去最高となっていることも流行の好調さをうかがえる。

 ただ、キャンプと聞くと、行くまでの準備や終了後の後片付けなどに手間ひまのかかるイメージがあるという人が多いと思われるが、最近では煩雑な用意をせずにキャンプを楽しめる「グランピング」というやり方もある。

 利用者は施設に行くだけで、あらかじめ用意されている宿泊場所で寝泊まりし、食事についてもケータリングが準備されているところもある。こちらで食材の心配をする必要がないのも魅力の一つである。

 このグランピングは、欧米では手ごろな価格で自然の風景を楽しむことができる観光地としても非常に人気があるそうだ。そこでグランピングのルーツをさかのぼってみると、諸説あるものの古くは1800年代後半ごろに欧米の富裕層が行っていたアフリカ旅行だとされている。

 その後、1960~70年代に入ると、観光客向けのロッジが多く作られ、2000年代にはラグジュアリーキャンプという言葉が用いられるようになり、現在のグランピングの形が作られていったようである。

 日本でグランピングが普及し始めたのは2015年代ごろで、これは大手リゾートホテルチェーンがグランピングという名をつけた施設を開業してからだとされている。

 ただ、日本では自然を楽しむ本来の施設がある一方で、キャンプ場とさほど変わらないような施設や大型商業施設に隣接するような立地の施設もグランピングとされていることもあり、多種多様な形態が特徴的であろう。

 ところで、このグランピングという語源について調べてみると、魅力的、華やかという意味の"Glamorous"とキャンプの"Camping"を合わせた言葉となっており、そのまま訳せば、「魅力的なキャンプ」ということになる。もちろんグランピング本来の目的である、自然を楽しむことも十分魅力的ではある。

 しかし、こうした魅力も考えられないだろうか。キャンプという非日常的な体験を通じて、それまで気づけていなかった、その地域における新しい魅力を発見することも楽しみ方の一つとなり得ないだろうか。

 このコロナ禍において、大人数で旅行を楽しむことが難しい状況だ。新年を迎え、まずは身近なところを散策し、あまりまだ知られていない地域の魅力を見つけることからはじめてみてはどうだろうか。

(Kyodo Weekly・政経週報 2021年1月4日号掲載)

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